天上天下唯我独尊

天地間に個として存在する「我」よりも、尊い存在はないということ。釈迦が生まれたとき、一方の手では天を、一方の手では地を指して、七歩進んでから四方を顧みて言ったということば。「唯我独尊」は自分だけが優れていると思い上がるうぬぼれの意でも使うが、本来は宇宙間に個として存在する人間の尊厳を示す。奇跡の受胎をしたシャーキャ族の王妃マーヤ(摩耶夫人)は、ルンビーニの園で無憂華(むうげ)の木の枝に右手でつかまりながら、いささかの陣痛もなく脇腹からゴータマ・シッダールタ釈迦牟尼)を産み落としたと伝えられる。